料理レシピのデジタルデータ化とエモーショナル・メタデータ

これまでたくさんの料理レシピと出会ってきたけど,一番心に残ってるのは From the kitchen of…ではじまるスコーンのレシピ。大切なひとから贈られた手書きのレシピ。

「誰が誰を想って書いたのか」が大切。作り方だけでなく作り手の心を伝える。ネットでレシピが大量消費される今,これを主軸にしたサービスを作りたい。

recipe card
出典: http://alenkasprintables.com/freerecipecards.shtml

レシピカードで一番たいせつな項目は「料理名」だけでなく「From the kitchen of ... (誰から)」のだった。

インターネット以後,レシピを「デジタルデータ化」することによって,ユーザは大量のレシピを無料で手に入れることができるようになった。インターネット以前はどちらかというと高価な料理本を買うか,家庭内の伝承でしかレシピを入手することはできなかった。

一方,デジタルデータは共通の構造の中で記述される方が都合がよい。効率と一般化を求めた結果,レシピに込められた思いは抜け落ち,「料理の作り方インストラクション」になった。

このなかで,CookPadなどのレシピCGMサービスの果たした役割は大きい。レシピを発表して共有するという,public な部分がとても発展した。プロの料理家でない普通の人がレシピを作って発表,直接フィードバックを受けるという行動が根付いた。マニュアル化したレシピはエモーショナルな行動で囲まれた。CGMでレシピ共有の public な行為に革命が起きた。

一方で,母から子へ,健康でいてほしい恋人に,レシピを送るという,personal な行為については,まだ革新が起こっていない。インターネット,ソーシャル社会を経てもなお。

僕はデジタルデータの時代にこれを実現するのは「エモーショナル・メタデータ」だと思っている。データを送りあう行為に,感情を込めることができるような仕組みだ。

Umio

Food & Learning の Umionia 代表。料理系ウェブサービスに携わった後、お菓子作りのコツを共有するサービスを開発。日本酒ジャーナリスト、日本酒コンシェルジュとして日本酒とそれを支える文化を伝える活動も実践。認定きき酒師、国際きき酒師(英語)、スイーツ協会認定スイーツコンシェルジュ。家訓に「いつも笑顔で、素直な心、食いしん坊ばんざい!」。

京都、東京、高松 http://umionia.com