日曜の昼下がり、ブレンド・コーヒーをチョコ大福とともに。
チョコ大福は、このカフェの近くにある長五郎餅のもの。400年余りの歴史を持つ老舗だ。
大福にあるチョコの香りはほんのわずかで、「私はあんこである」との矜持を保っている。そのこしあんを包む餅皮は赤子の耳たぶのようになめらかで、米の存在を感じさせる香りが口いっぱいに広がる。はっとする味わいだ。このような食べ物に時折出会うことで、生きている幸せを噛みしめる。
ブレンド・コーヒーには苦味と焙煎香が明確に存在して、それでいて重すぎない。長五郎餅の、歴史を感じさせる思慮深さに寄り添っている。
チョコ大福とコーヒーを味わっている間ずっと、クロンチョンが流れていた。
2022年3月 Knot Café(京都)にて