コーヒーカップから豊かで深い焙煎香が立ち上がる。飲むと、強くて太い酸味がやってきて、重厚な焙煎香がついてくる。後口に柑橘を思わせる酸味と、焙煎香と相棒になった苦味。余韻はとても長い。そしてとにかく力強い。どすんとお腹にくる。ダークチョコレートとも、ミルクチョコレートとも合いそうだ。

少し冷めると、柑橘を思わせる酸味が際立って、よい。

パナマのボケテは、僕がはじめて旅したコーヒーの産地のひとつだ(同年にアンティグア・グアテマラに滞在している)。ここで赤いコーヒーの果実にも触れた。中米を少しづつ南下しながら、数々のアドベンチャーをこえてたどり着いたこの地は、静かで安全で涼しかった。その時の安堵感を覚えている。

2021年7月 京都珈道にて