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酒で脂を洗い流さないで!〈盃のあいだ〉

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

酒と料理の相性を語るときに「脂っこさをさっぱりと洗い流す」といった言葉を聞くことがある。このことにずっと違和感を持ってきた。

僕は脂が大好き[1]だからだ!

おいしい脂を洗い流してしまうなんて、もったいない。日本酒レッスン「チーズと日本酒」の講師をしていただいた飯田さんにこのことを話したとき、彼女は目を見てしっかりと頷いてくれた。私もそう思います、と。

油脂の味わいの余韻を楽しみたい。でも、酸味やタンニンが油脂の味わいをリフレッシュさせる効果は多くの人が同意しているし、いろいろな教科書に載っている基本のこと。いつしか僕も、人前で話すときもそのように説明するようになっていた。

高松の「酒仙人」で飲んでいて、なぜかこの話題になった。酒仙人のご主人は、「それは、良質の脂ではないからですよ」とおっしゃった。本当においしい脂身を食べたら、だれも洗い流そうと思わない、と。そして、世の中には洗い流したくなる品質の脂が溢れている、とも語った。

この時はだいぶ酔っていて、それ以外の記憶が定かでない。どの酒を飲んでどのように帰ったかわからないくらいだった。でも、この話だけは覚えていた。夢の中でもう一回ご主人が出てきて、復習までしてくれた。

こんどおいしい脂を食べさせてもらおう。そして、これからは、酒が洗い流す効果については、こう伝えようと思った。

油脂が残念ながら不快に感じてしまった時や、どうしても次の料理に行くため脂のおいしさにサヨナラしなくてはいけない時、酒で洗い流すこともできます。でも脂のおいしさはじっくり味わってくださいね。

今日も日本酒コンシェルジュ通信に来てくれてありがとうございます。油脂のおいしさに乾杯!


  1. 筆者は2歳位のとき、冷蔵庫を勝手に開けてバターを齧っていたという逸話がある。 ↩︎