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「チーズと日本酒」日本酒レッスン その7 イベントレポート〈後編〉

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

前編に引き続き、日本酒レッスン「チーズと日本酒」のイベントレポートをお届けします。

いよいよチーズと日本酒を合わせる体験です。

6種類の日本酒ラインナップ

今回ご用意した日本酒は全部で6種類。多くの人が「日本酒らしい」と感じる純米大吟醸から、長期熟成酒、赤米酒など個性のあるものをご用意しました。

日本酒ラインナップ

写真右から。

竹生嶋 壺中重星霜(こちゅうせいそうをかさねる)」。14年間、瓶で熟成させた古酒です。カシューナッツ、蜂蜜のような熟成した香りと丸く落ち着いた甘味が特徴です。

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唯々(ただただ)純米大吟醸」。兵庫県産の最も品質が高い特Aの山田錦を使った純米大吟醸。強すぎないフルーティーな香りが、料理と合わせやすくなっています。

不老泉 滋賀渡船 無濾過生原酒」。滋賀渡船という酒米を使っています。乳製品のような香りと、力強く濃厚な甘味、旨味が特徴です。

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伊根満開 赤米酒」。古代米を使った赤い日本酒。ベリー系の香りとティージャムのような甘味と渋みが特徴です。

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新政 陽乃鳥(ひのとり)」。日本酒で日本酒を仕込んだ貴醸酒。とろりとした甘味としっかりとした旨味を楽しめます。

富翁(とみおう) 純米吟醸原酒 にごり酒」。華やかな香り、上品な甘みとしっかりとした酸味のにごり酒です。

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日本酒の説明をする日本酒コンシェルジュ

チーズと日本酒を合わせる体験

お酒の説明の後、チーズプロフェッショナルと日本酒コンシェルジュがご案内する、チーズと日本酒をあわせる体験を楽しんでいただきました。

チーズプロフェッショナルと日本酒コンシェルジュ

チーズと日本酒の共通点

チーズの製造工程は、発酵と熟成。日本酒も同じく、発酵により造られます。ものによっては熟成させるものがあります。

チーズも日本酒も飲食物ですから、見た目や口当たり、香り、味を楽しみます。

チーズと日本酒のテイスティングを重ねて気がついたのは、両方とも**「口中香(口の中に広がり、鼻に抜けていく香り)」に特徴が現れる**ということでした。

今回はとくに口中香を意識して日本酒のラインナップを考えました。

意見が一致する組み合わせと分かれる組み合わせ

チーズ6種と日本酒6種の組み合わせを見るには36回のテイスティングをする必要があります。今回は皮とクリームがあるチーズが2種類ありましたので、それを含めると48回繰り返さなくてはなりません。イベント前に一通りやってみたところ2時間近くかかりました。

イベントでは、その中から8通りの組み合わせを選び、皆さんで同時に試していただきました。

興味深かったのは、意見が分かれる組み合わせが多いということでした。 ほとんどの方が「合う」で一致したり、「合わない」で一致するケースもありましたが、3分の2くらいの組み合わせでは「合う」とした方と「合わない」とした方が半々でした。

つまり、多くの人の意見が一致する組み合わせと、意見が分かれる組み合わせがあったということです。味覚や嗅覚などの感性は本当に人による、ということを改めて認識しました。

チーズと日本酒の組み合わせ検証シート

セオリーと実際

もう一つ感じたのは「セオリーと実際の違い」です。

セオリーとは、同じタイプの香味で合わせる「同調」や、違った味を組み合わせて第3の新しい味を生み出す「マリアージュ」といった合わせ方のルールです。

もうひとつ大事なのが強弱のバランス。例えば同じ香味が同じで「これは合いそう」となっても、お酒がライトでチーズが超濃厚の場合、お酒が負けてしまって水のようにしか感じなかったりします。

イベントの前にはこういうセオリーを元に仮説を立ててペアリングをしましたが、実際に合わせてみると違う、なんだかしっくりこない、というケースも多くありました。

組み合わせを体験することを楽しんでいただきたい

ですから、「セオリー通りだとこのタイプのチーズとこのタイプの日本酒が合う」ということを聞いてその通りに合わせて納得するよりも、「セオリーだとこれとこれが合うかもしれない」と実際に確かめながら合わせてみたり、合いそうにないものをあえて組み合わせてみたりして、それらを自分の感性で楽しんでいただきたいと思いました。

ですから今回は、「初級者向け」としていたこともありますが、ペアリングのセオリーの説明はせずに、先入観がない状態の感性でで組み合わせを体験していただきました。

ご家庭でも飲食店でも、「これとこれを合わせてみたらどうなるのだろう?」といろいろ試しながら、チーズと日本酒のペアリングを楽しんでいただきたいと思います。

また、人によって意見が分かれることを書きましたが、一緒に楽しむ人と感想を言い合うことで、「感性の交換」をするのが楽しいと思います。これこそが食を通したコミュニケーションなのだと思います。

チーズ以外の食材も!

チーズの友にご用意した食べ物をご紹介します。

米粉パン

今回は米粉のパンとドライフルーツをご用意しました。

米粉のパンは、今回お出しした不老泉と同じ「滋賀渡船」という米を使ったパン。日本酒好きにはたまらないこの特別なパンは、滋賀県の浜大津こだわり朝市で購入できます。朝市は毎月第3日曜日の開催です。

米粉パンとドライフルーツ、奈良漬とクリームチーズ

最初はチーズと合うバゲットを準備しようと考えていたのですが、実際に試してみたところ、チーズとはとても合うけど日本酒とはあまり合わないということがわかり、米粉パンを選びました。

米粉パンはチーズとも合うし、日本酒とも合います。せっかく米粉パンならということで、酒米の滋賀渡船を使ったものにしました。

ドライフルーツとナッツ

チーズに合う食材の二強はナッツドライフルーツ

ナッツはフランス産のくるみを選びました。フランス産くるみはコクが強く、苦味が上品なのが特徴です。

ドライフルーツはふさ干しレーズンドライフィグ(干しイチジク)。ふさ干しのレーズンは通常のものより味わいが濃厚です。ドライフィグはトルコ産、こちらも甘味がしっかりしていてチーズに負けません。

奈良漬とクリームチーズの組み合わせ

こちらは飯田さんが考えて作ってくださった、奈良漬とクリームチーズを合わせたもの。ここまでは普通ですが、ここにレモンピールを加えるのが飯田先生のコツ!

これが日本酒にあった!とおっしゃる方が多かったです。奈良漬は熟成した酒粕を使った漬物ですし、レモンピールの香りのする吟醸酒も多くあります。また、クリームチーズの香りが口の中で広がる感じが、吟醸香の口中かと似ています。つまり日本酒合う要素しかないんです!

奈良漬とクリームチーズ

この後、飯田さんからサプライズの「山田錦のおせんべい」も! 唯々純米大吟醸と同じお米を使ったおせんべいです。

ありがとうございました!

ご参加いただいた皆さん、講師の飯田さん、ありがとうございました!

今回も満員御礼! 24名もの方にご参加いただきました。また、多くの方にFacebookなどで写真やご感想を投稿していただきました。感謝です!

次回は6月予定

「日本酒レッスン」、5月はお休みをいただいて、次回は6月開催の予定です。

イベント開催情報はこのブログのほか、そのままお申し込みができるFoodlessonsFacebookLINE@でお知らせいたします。