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伯楽星 純米吟醸 蔵の華|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

テーブルクロスとスポットライト

家庭でも飲み屋でも、酒と料理のペアリングを考えながら楽しむようにしています。そして、同じテーブルを囲む人と「これは合うねー」などと語り合うのが楽しくて、いつも幸せな気分になるのです。伯楽星を飲みながら、この酒が実現している食中酒とはなにか、を考えました。

伯楽星といえば「究極の食中酒」。2000年代にはじめて登場して以来、小さなバージョンアップを重ねながら、その食中酒としての方向性はしっかりと保たれています。

ワインの文化に影響を受けた、「酒と食事をピンポイントで合わせる」ペアリングのスタイルが日本酒の世界でも広まってきています。伯楽星の「食中酒」はこれとは違って、どちらかと言うと伝統的な「料理の邪魔をせずに引き立てる」スタイルです。

伝統的な食中酒は、甘味があったりなかったりするものの、共通するのは「淡麗」な味わい、酸味が少ない酒です。こういった酒はのどごしもよく、スイスイと飲み進められます。そして、合わせる料理の味が増幅されます。写真アプリで色調を強調するようなイメージです。これが「料理の邪魔をせずに引き立てる」ことです。

伯楽星もスイスイ飲み進められて、料理の邪魔をしません。料理を引き立てます。伝統的な食中酒と違うのは、シャープで強めの酸味で口の中をリセットする点です。でも、ワインほど強い酸味ではなくて、過剰に主張することはありません。

伝統的な食中酒も伯楽星的な食中酒もどちらも料理を引き立てますが、前者は自分の存在を消すことで料理を引き立て、後者は穏やかだけど能動的に働きかけて料理を引き立てます。

伝統的な食中酒が、料理を引き立てるけどその存在を意識しない「テーブルクロス」だとしたら、伯楽星は料理を引き立てる「スポットライト」です。光を当てるという能動的な動作、だけれども光自体を意識しない、そんな塩梅の「引き立て方」をするのです。

考えてみると、テーブルクロスもスポットライトも本質的には同じなのかもしれません。でも、伯楽星を飲みながら料理を楽しんで思ったのは、伯楽星は伝統的なペアリングの哲学を持ちながら進化したモダンな食中酒であるということでした。

「伯楽星 純米大吟醸 雄町」のテイスティング・ノートも合わせてご覧ください。

テイスティングコメント

10-12度

リーデル大吟醸グラスでテイスティング。

ごく淡い山吹色。上立ち香は穏やかで、リンゴの切り口の香りとほのかに上新粉の香り。

シャープな酸味で透明感のあるテクスチャー。甘味は控えめで酸味がしっかり。味の膨らみがある。グラマーと言うよりも、細いなかに肉付きのよさがある。リンゴの香り、上品なみかん果汁のようなやさしい柑橘の香り、上新粉の香り。シャープに切れる。余韻は長く、みかん果汁と柑橘ピールの香り。

スイスイ飲み進められる。単独でも十分楽しめる曲線が美しい酒だが、料理とも合わせたい。特に軽い味わいの料理、繊細な味わいの料理と合わせやすい。お造りなら白身魚。濃い味付けの料理もいけるがそこまで濃いのは難しい。ワカサギの甘露煮に合わせてみたが、ギリギリ。チーズとはよく合う。ハードタイプのチーズと合わせると、酒の中にあるミルキーさや粉砂糖のようなシンプルな甘味が引き立てられた。

40度の燗酒

やわらかく、やさしい。まろやかで若々しい。生酒を温めたときのようなニュアンス。とても上品。そしてミルキーさが出てくる。余韻にアルコールの刺激が舌にジワリ、そして柑橘ピールの香り。温めることで余韻が長くなり、酸味が丸く感じられる。

55度の燗酒

湯気に包まれてお風呂に入るようなイメージ。甘味が広がる、米のミルキーさがよりくっきりする。

洗練された燗酒

燗酒は40度がよかった。燗酒にするととても顔が変わる酒。洗練されている。蔵に眠っていた磁器をきれいにして、空間・照明が計算された美術館に展示したようなイメージ。ミニマリスティックな味わいの燗酒。美術館にある燗酒。

(テイスティング日: 2019年2月22日)

ラベル情報

商品名伯楽星 純米吟醸 蔵の華
醸造元新澤醸造店(宮城県大崎市)
特定名称・種別純米吟醸酒
原材料米(国産)、米麹(国産米)
酒造年度-BY
原料米蔵の華
精米歩合55%
酵母-
仕込み水-
アルコール度数16度
日本酒度-
酸度-
アミノ酸度-
製造年月19-01
杜氏-
その他情報-

伯楽星 純米吟醸 蔵の華