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【書評】田崎真也『No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方』

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No.1ソムリエの田崎真也さんの著書。ワインの表現を応用することで日本酒の香りと味わいの表現を国際化することを主張。120もの具体的なテイスティングコメントも掲載。

日本人初の世界一のソムリエ田崎真也さん

著者の田崎真也さんは、1995年の第8回世界最優秀ソムリエコンクールで日本人として初めて優勝した著名なソムリエです。現在は、日本ソムリエ協会等の会長を務めています。

日本酒の表現の国際化の必要性

「和食」のユネスコ世界無形文化遺産登録、そして世界での和食ブームと共に日本酒の輸出量が急増しています。ひと昔前まではあまり一般的でなかったような、スパークリング酒、熟成古酒、貴醸酒、赤米酒といった様々なタイプの日本酒が一般的になりつつあります。その幅広さは合わせる料理の幅をも広げました。和食だけではなく、中華料理、イタリアン、フレンチなどともマリアージュを楽しむことができるようになりました。日本酒はまさに世界に広がり、ワールドワイドなお酒になりつつあります。

田崎さんは日本酒の味わいを日本の外の飲み手と共有するためにも、香りや味わいの表現を国際化する必要があると主張しています。

日本酒の香りと味わいを言語化する

お酒を言語化するということは、香り、味わいを捉えて表現するということです。しかし、田崎さんは日本酒はその表現がワインと違ってあまり統一されていないことを指摘しています。

ここで、私は日本酒にはワインの世界のようなフレーバーホイールやアロマホイールが一般的でないことを思い浮かびました。製造者向けのフレーバーホイールはありますが、提供者や消費者の利用には適していませんし、ワインほど項目が細分化されていません。

田崎さんはワインの表現を日本酒に応用することを提唱しています。国際的に受け入れられるようにするためです。

日本酒の味わいを時系列で捉える

本書の中で、日本酒の味わいには甘味・酸味・旨味・苦味の4つがあり、時系列で味わいを捉えていくことが必要であると主張されています。

私も日頃からそのように味わっていたので、とても納得しました。

飲み手にも求められる国際化

田崎さんはさらに、日本酒の味わいの表現を国際的なものにして共有できるものにしていく必要があると主張しています。本書にはその表現方法についての詳細な記述があります。

私はこれを読みながら、日本酒業界だけがグローバル化していくのではなく飲み手もそれに伴う成長をしていかなければならないと田崎さんに言われているような気がしました。

お酒を言語化し表現することは、共有する意味では非常に重要なことだと思います。誰かに伝えると言うのは意外に難しいことす。伝えられる側も伝える側と共通の経験をしていないと、たとえ言語化しても伝えるのが難しい場合があるからです。

田崎さんの提唱する方法を実践することでその壁を低くしてくれるような気がしました。

いろいろなお酒を知りたい方、表現方法を知りたい方におすすめ

この本は、大部分が田崎さんのテイスティングコメントで構成されています。120種類もの日本酒のコメントが掲載されています。

これから日本酒を飲もうと思っている読者は、どんなタイプの日本酒があるのかを知ることができます。

また、ある程度日本酒を飲まれている方も、香りや味わいをよりくわしく捉えることでより日本酒を楽しめるようになるはずです。テイスティングに興味がある方は持っておきたい一冊です。

田崎さんが会長を務める日本酒ソムリエ協会は2017年3月に新たに日本酒の資格としてSAKE DIPLOMAを新設しました。受験を考えている方は、120にも及ぶ表現の具体的な例文として参考になります。教本と一緒に読んでおくとためになるでしょう。

No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方 (SB新書)
田崎 真也
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