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5. 讃岐くらうでぃ|酒造家 藤岡美樹さん インタビュー

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

ジョッキでごくごく飲める日本酒「讃岐くらうでぃ」

その後も藤岡さんは日本酒への「入り口」になる商品を開発していきました。その中でも低アルコール日本酒の「讃岐くらうでぃ」は日本酒を飲まない若い世代に人気の商品です。

— その後はどんなお酒を開発したのですか?

香川には「骨付鳥」という郷土料理がありまして、本場の丸亀市が普及をしようということで、「このラベルを使った日本酒を出してください」という話があったんです。

「既存の製品にラベルを張り替えるだけでいいですから」、とのことだったんですが、「えー、骨付鳥に普通の日本酒は合わないですよー、ごくごく飲めんし」ということで、「どうせやるんだったら中身の開発からします!」ということで開発しました。

「骨付鳥」はもともと養鶏が盛んだった香川県丸亀市の郷土料理。鶏肉をにんにくとスパイスで味付けしてオーブンや釜でじっくり焼いたもので、とても香ばしくしっかりした味わいのある料理です。

香川県丸亀市の骨付鳥公式サイト

骨付鳥みたいな辛いもので一番合うのはやっぱりビール、っていうイメージがあって、ジョッキで「ごくごく、ぷはぁー!」って、食べて飲むという感じで、「だったらジョッキでごくごく飲める日本酒を造ろうじゃないか!」ということで始めました。

観音寺には日本で唯一麹の神様を祀っている皇太子神社があります。それに当時は塩麹とか、いろいろな麹の健康効果もうたわれていた頃だったので、「麹」に着目して日本酒の発酵技術を応用して麹が通常の3倍のものを造った、という経緯です。

ちょっと乳酸飲料っぽい、カルピスみたいな味わいなんですけど、日本では乳酸飲料系のカルピスなんかが好まれていて、みんな小さい頃から飲み続けているので、そういう日本酒を造れば、飲んでもらえるかなと。

だから、王道の日本酒を飲み慣れている方が薀蓄を言いながら飲む酒では絶対ないんですよね。だけど入り口になればいいな、って。

— 反響はどうでしたか?

ああいうチャラいラベルだったんで、「川鶴どしたん?」ってまず言われて(笑)

讃岐くらうでぃはロックで飲めるということで、地域の飲食店さんの中には、ビールジョッキに氷を入れてるスタイルで出していただいています。

20代、30代の若い方のリピートがものすごく多いです。日本酒を普段あまり飲まない方が飲んでくれている感じですね。チューハイとかビールを飲んでいた人が飲める日本酒なので、熱烈なファンが付いている感じです。

以前から日本酒を飲み続けている方にとっては「なんじゃこりゃ?」と言われることも多いですけれども。

— 日本酒への入り口になっていますね

そうですね。入り口になってくれているんですね。それからまた、本格的な日本酒の方に来てくれているんです。

だから、「日本酒を飲めた」ということがいいんじゃないかって、ロックで、ジョッキで飲める日本酒、「えー!」みたいなところが、いいんじゃないかな。

日本酒が敬遠されているのは、度数が高いので翌日がしんどい、「明日休みだから飲むけど、週初めから日本酒はちょっと…」みたいなのって、心の底にどっかあると思うんですよ。そういうところのアルコール負担が少なくなっているのでいいかなと思います。

骨付鳥を食らう女性のイラストを使ったラベルは期間限定のものだったので、現在は七色の鳥の絵をあしらったものになっています。「氷を入れて味が七色に変わる」という意味が込められているそうです。