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8. 酒造りは一期一会|不老泉 上原酒造杜氏・横坂安男さんインタビュー

日本酒コンシェルジュ・Umio 日本酒コンシェルジュ・Umio

となり町の安曇川にある「魚仁」に場所を移して、横坂さんのお話は続きます。ここは先代の山根杜氏もよく使っていたお店です。

酒造りは一期一会

最初に入った貴娘酒造では、五十嵐武明杜氏の酒造りと農業の「二刀流」に魅了され、岡山では山田錦を栽培する岡田徳行杜氏のもとで働き、その後千葉にある奥様の実家で米作りを始めた横坂さん。

そして、先代の山根杜氏に「お前の米を持って来い」と言われて醸したのが「不老泉 山廃純米吟醸 総の舞」。横坂さんは酒造りを通してずっと米と向き合ってきました。

横坂: 俺たちの仕事で何がうれしいかと言ったら、それは単純明快で、「1年でリセット」ということなんですよ。

お米で言えば、「27年産米は終わりました、来年は28年産米です」。

毎年違うんです。1年でリセットなんですよ。新しい米の出会いというのは、そこで初めてのもの。データはないですから。

そこでいいんじゃないですか、一期一会で。一期一会って裏を返せばリセットですよ。

次の世代に何を残せるか

横坂: でもやっていることの技術は常に向上するわけですよ。だから手強いほど、データがない中で、いまのどこの範疇に入るかで結果が出るわけです。同じものを繰り返していったら、つまらないわけじゃないですか。

毎年できる米は違うんです。リスタートです。一年一年命を削る、一年一年の子作り。その結果は気候に左右されます。半分はお天道さま。お天道さまに聞いてくれ!

全く同じものを作れないところのの楽しみがあるんです。そこでいままでの経験をどう活かすかということです。

稲はすごいですよ。24時間外に立ちっぱなしですから。そして子孫を残す。その時、頭を垂れるんです。花を咲かせ実をつける、子孫を残す。そこで「あなたや何を次の世代に残せますか?」と問われてるんです。

種子は命をつなぐもの。毎年それと向き合うんですよ。「何を残せるのだろうか」と。

穂の花をつけた総の舞

※ 総の舞の稲穂が花をつけている様子。この写真は横坂さんにご提供いただきました。

米作りの話が弾む間に料理が到着。高島ではイノシシ肉や鹿肉が日常的に食卓に上がります。

―― イノシシのキムチ炒め来ました!

横坂: うまい!おいしいなこれ。これは強いなあ。雄町がスイスイ行く

―― この雄町のお酒の味は、高島のイノシシとか鹿肉とかそういった食事に合わせた味わいに設計しているのですか?

横坂: そうじゃないですね。上品な関西圏に合わせて造ってますよ。

合うね〜。うまいね~。雄町もそうだけど、山廃系はみんな合うよな!

不老泉雄町と猪肉


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