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6. 日本酒が大好きだから、日本酒を売る|にしむら酒店 西村道隆さん インタビュー

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

(2015年5月公開)

いまは一番、日本酒のいい時代

ここ5年くらいで、日本酒全体が劇的に美味しくなりました。たぶん、江戸時代とか大正時代には考えられなかった、どんなお金持ちでも飲めなかったような、すごいうまいお酒が、今は誰でも飲めるようになってると思います。だから、今はほんとうに良い時代です。

西村さんは、いちばん日本酒が好きな消費者

— 日本酒の良さはどんなところにあると思いますか?

米からくる旨みと香りですね。酵母菌、乳酸菌がつくる乳酸、米に若干入っているタンパク質・脂質を酵母が分解してつくるアミノ酸。それらの味わいの複合が素晴らしい。日本酒ほどうまい酒はないと思います。

日本酒を飲むときに、「どんないい香りがあるんやろか」とか、「口に含んだ時の旨味と甘味がどんなタッチでくるんやろう」とか、「後味はどんだけ、渋みとか酸はどんだけあるんやろうか」とか、「どんだけバランスがいいんやろうか」とか。

「この酒うまいな」と思った時に、つぎにどんな料理に合うか、「これに合いそうやな」とか。
「温めてみようか」とかに思いを巡らす。

料理との取り合わせ、味、あたたかさ、旨味成分で日本酒に勝るものはない。ワインと比べると料理と喧嘩する要素が少ない。香りの高い吟醸酒をのけといたら、合わない料理はほとんどない。その代わり、ワインみたいに、ずば抜けた相性はないんですけど。ワインの場合は「これ嘘でしょ!」ってなるくらい両方上がるのがある。そこは日本酒にはない。

でも、味の幅、温度帯の幅、旨味とか奥深さで言うと日本酒はすごいなと思います。

それから、日本酒は酔ってきてもうまい。酔っても日本酒の味はわかる。日本酒はずっと味がある。他のお酒は、とくに蒸留酒とかは酔ってくると頭がくるくると回って、舌がわからんようになる。

日本酒の良さは、酔ってる自分が温かいということです。やさしく、あたたかく飲める。僕は酒屋だけど、実は消費者なんです。いちばん日本酒が好きな消費者なんです。

ピクニックで楽しむ日本酒

インタビューを終えて

私がにしむら酒店で買物をするようになったのは2年ほど前のことです。「西村さんに日本酒を一から教わった」というある酒蔵関係者の強い勧めがきっかけでした。

お店に通うたびに毎回30分以上会話をしていたと思います。「もっと西村さんの話を聞きたい」、そう思ったのが西村さんにインタビューをしようと思ったきっかけです。

西村さんは快くインタビューを受けてくださいました。途中お店にくるお客さんの対応をしながら、2時間近くにわたってお話をしていただきました。

この記事で紹介できたのはそのうちのほんの一部ですが、にしむらさんの日本酒にかける想い、日本酒の素晴らしさ、日本酒をのむときのワクワク感を感じていただければ幸いです。

消費者であり、プロである

昭和の終わりの第1次、平成の第2次、そして今は第3次日本酒ブームと言われています。一方で日本酒はマニアの世界で敷居が高い、というイメージがあります。「大吟醸とか用語がわからないので日本酒の世界に入りにくい」「知識なしに飲んだら怒られそう」といった声を聞くことも少なくありません。

西村さんは具体的でわかりやすい言葉で、ていねいにお酒の美味しさを説明します。お客さんの立場に立って味わいを伝えているのです。西村さん自身が日本酒のことを大好きな消費者であるということが、このような接客を支えているのだと感じました。

西村さんのお話の行間から感じられた、「目利きの力」、「選ぶことに対する強い責任感」。西村さんのプロ意識、真剣さがここにはあります。

プロであると同時に消費者である。どちらも、ものすごく熱い。生産者と消費者をつなぐ役割はこのようにして果たされている、と思いました。

西村さんにお酒を選んでもらおう!

去年(2014年)の2月に私が東京で開催したイベント「京都の日本酒をあなたに」では西村さんにお酒選びの相談に乗っていただきました。東京の参加者の方に大変ご満足いただきました。また、京都で開催している「町家でお酒を楽しもう!」でも何度か西村さんにお酒選びのアドバイスをいただいています。

おいしい日本酒に出会いたい方は、京都北白川のにしむら酒店を訪れてみてはいかがでしょうか?

にしむら酒店について