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1. お客さんに食べてもらうことがうれしい!|津乃吉 吉田大輔さん

日本酒コンシェルジュ・Umio 日本酒コンシェルジュ・Umio

日本酒レッスン その1 だしと日本酒」で講師をしていただいた、京都の佃煮屋さん「津乃吉」の吉田大輔さんにお話をお伺いしました。

京佃煮・津乃吉は、京都で最も人気のある観光スポットのひとつ清水寺にほど近い場所に店を構え、「ちりめん山椒」や「京だし」などの商品を製造・販売しています。

吉田大輔さんは食品会社に勤めたあと、9年前に家業の津乃吉に戻り、「かつお味噌」「ごぼう味噌」などのヒット商品を開発しました。主力商品の京だしをつくるときに出る「だしがら」を捨てずに使い切りたいという思いをこめた商品です。

お客さんに喜んでもらうことが楽しい!

— 最初に食品会社に就職したのはどうしてですか?

僕は理系だったので、大学はなんとなく農学部に入りました。その時から食べ物のことが好きだったかもしれないですけど、それほど明確ではなかったと思います。

一回生の時、アルバイトを始めました。最初はファミリーレストランの厨房、それから喫茶店とか食べ物関係のところばっかりで働きました。二回生の時、「ふくい」という鉄板焼屋さんで働き始めました。

津乃吉 吉田大輔さん

夜9時から深夜3時くらいまで働いていたんですけど、そこでお客さんの前で調理を自分でして、お客さんの感想を直接感じる、という体験があったんですね。それにすごく喜びを覚えて、

「あー、楽しいなー。食べ物を作って食べてもらうのは楽しいなー」

という思いがそこですごく強くなりました

それから、バーテンをしました。お客さんから「こんなのが飲みたい」という、ものすごくざっくりとしたオーダーを受けて、自分のオリジナルカクテルを作ってお出しししたりすることもありました。

そのためにカクテルの本をすごく読んで、自分のオリジナルのカクテル帖も作ってました。それで給料が上がるわけではないですけど、自分が何かを考えて作ったものの感想が直接聞ける、しかもそれが食品、口にするもの、というのが楽しい、というのが完全にできあがって、__自分の知識や技術がお客さんの喜びにつながる__ということに気がついたんです。

— それで食関連の会社に就職しようと思ったのですか?

そうですね。もうその時点で、「絶対食品に関わる仕事がしたいな」ってほぼ固まっていました。

食品会社に就職した吉田さんは、新しい商品を作り出すなかで、ものづくりの達成感を味わうものの、違和感を感じることになります。

現実と理想のギャップ

「自分が作ったものを食べてもらって、反応をもらえる」、そういうのが仕事になれば面白いのかな、というのはずっと思っていました。まあ、それは理想と現実の違いにショックを受けることになるんですけど。

— それはどういうことですか?

とにかく「分業、分業」でした。直接お客さんともつながる機会もなかったです。製造工程を見て「ああ、食べ物ってこんな風にも作るんや」って衝撃を受けることもありましたし。もう少し、料理に近いというか、そういうことを多少なりとも期待はしてましたが、やっぱり工業製品でしたね。

津乃吉 吉田大輔さん

喜びがずれている

僕らの仕事のゴールは商品化すること、商品の中身を作る仕事をしていました。レシピを作って、ちゃんと決められたものができるかということ考えて、つくって、検査をして、大丈夫ならじゃあ商品化、というところまでが僕らの仕事でした。

だから、それらをやり遂げるという喜び、達成感は感じていました。でも、やっぱり__喜びがずれていますよね__。

いろいろな制約がある中でものをつくるということは、いま津乃吉でやっていることとかなり似ているので、やりがいはもちろんありました。でもその制約は食品を作る中で自分が納得できるものでもなかったんです。結局は自分たちの会社のわがままでしかないんです。

  1. お客さんに食べてもらうことがうれしい!
  2. 家業に戻り、新製品を開発
  3. 五感でつくる
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