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上撰 ワンカップ大関 |日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

初詣に行った松尾大社で飲んだワンカップ大関の燗酒がおいしくて、また飲みたくなったので宅飲み。

松尾大社に奉納された酒

50年以上前にうまれた新しいジャンル

ワンカップ大関は1964年の発売。若者をターゲットにした新しいジャンルの商品として登場した[^1]。「コップ」ではなく「カップ」。しかも One Cupと英語表記なのは当時としては珍しかった。ラベルデザインもモダン。

そのころは酒場では一升瓶から徳利が標準で、カップ酒にブランド名を表示するのは酒の銘柄を覚えてもらえないという課題を解決するためでもあった[^2]。東京オリンピック開催など日本全体が発展の機運にあった時代に現るべくして現れた新しい潮流だ。

ラベルの裏が絵になっているのは、オイルショック時にコスト削減で瓶への直接プリントからシールに変えたあとのこと。転んでもただでは起きない。素晴らしき企業努力である。この絵を見るのが楽しい。今回は蔵人さんが酛摺りをしている写真。

ワンカップ大関 ラベル裏

常温から熱燗、そして燗冷まし

酒器を使わずカップそのままで飲む。容器が酒器だからだ。

まずは常温で。カップの縁は丸く、やさしい。その影響もあるのか、やわらかなアタック。乳酸系のミルキーな香り。甘味もしっかりある。米のニュアンスがある甘味である。そして透明感のあるしっかりとした酸味。香りは穏やかで、アンズ、熟したバナナの香り。すだちの香り。すだちピールのような苦味で切れ、アルコールの刺激を舌に感じながら余韻。アンズ、冬瓜の香り。

松尾大社で飲んだときは、60度位までしっかりと温められていて、寒気の中心が落ち着いた。だから燗にしてみる。もちろんカップごと湯煎で。

ワンカップ大関を湯煎に

アルコールと乳酸系の香りが上がってくる。アルコールも揮発していてすこしウッとなるが、トータルではバランスが取れている。アルコール臭をうまくカバーしている。温めるとミルキー感が増す。体も心もあたたまる。ちょっと尖った印象。苦味と酸味で。旨味が後味に感じられる。

燗冷まし。50度。うま味が上がってきた。アルコールの苦味も尖ってきた。もう少しかな。40度。包まれる感じ。うまみとミルキー感がます。やはりこの温度がいいな。60度位まで温めてもらって、ゆっくり飲みながら冷めていく。そんな飲み方がいいのかもしれない。

野外ではカップを握りながら手を温めた。そして燗冷ましを加速させるのだ。

いろいろな料理に合うタイプ

どんな食べ物も引き立てるタイプ。だし巻き卵と合わせたら、うま味が上る。相乗効果だ。プロセスチーズと合わせると、酒の乳っぽい香りが同調してよく合う。旨味と甘味が凝縮されたくるみ味噌と合わせると、酒がさわやかに感じられ、味噌を引き立てる。

技術の高さを感じる。この価格でこの味、しかも安定して供給。そしておそらく、時代に合わせて味のマイナーチェンジをしている。技術力のなせる技だ。米の出来や気候によって味が変わる酒も楽しいが、安価でいつもおいしい酒も楽しい。軸は違えど、フラットに評価したい。おいしい! 素晴らしい!

一合飲んで、ほろ酔い気分。ちょうどよい分量だ。

静岡バージョン

静岡の「地元めし」に合わせた「静岡仕立て」も。静岡の料理に合わせて淡麗とあるが、飲んでみたらわかりやすい。

ワンカップ大関 静岡仕立て

ドライな分、後半に盛り上がりがある。軽く入って、後半味と香りがぐいっと上がってそのまま切れる。バナナの香りがほのかだがくっきり。ミルキーさも健在だ。以前生シラスを醤油につけた料理を食べたが、それに合わせたくなった。

生シラス醤油

ご当地の地元メシに合わせて造られたシリーズは、静岡の他にもご当地グルメに合う「名古屋仕立て」、房総半島の海の幸に合わせた「千葉仕立て」、瀬戸内の魚介類に合う「瀬戸内仕立て」がある。

(テイスティング日: 2019年1月8日)

ラベル情報

商品名上撰 ワンカップ大関
醸造元大関(兵庫県西宮市)
特定名称・種別
原材料米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
酒造年度-BY
原料米-
精米歩合-%
酵母-
仕込み水-
アルコール度数15-16度
日本酒度-
酸度-
アミノ酸度-
製造年月2018-12
杜氏-
その他情報-
商品ページ-

ワンカップ大関