/ 活動報告

台湾大学で日本酒の地域性について発表をいたしました

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

2018年5月10日から12日にかけて台湾大学で開催された「アジア太平洋農業と食の倫理学会(APSafe: Asia Pacific Symposium of Agricultural and Food Ethics Conference)」で、日本酒コンシェルジュUmio(こと江口崇)が日本酒の地域性について発表しました。

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発表のタイトルは“Probing the Regionality of the Japanese Saké(日本酒の地域性を探る)”。日本酒の地域性がどのように失われ、また復活しつつあるのか、そして日本酒コンシェルジュ通信が主宰しているワークショップ「日本酒テロワールキャノンボール(現 Local Saké Cannonball ローカル・サケ・キャノンボール)」の教育効果がその内容です。

日本酒の地域性

日本酒の地域性については、戦前まで見られた「日本酒の地域による香味の特徴」が三倍増醸酒や級別制度、OEMの拡大によって均一化されたこと、近年になって各蔵や各都道府県の農業・工業技術セクターの努力により、「地域性」を回復する動きがあることを述べました。

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その上で、地元の水・米・微生物・技術を使う「地域主義」の広がりについて報告。ワインのテロワールの考え方に影響された酒造りの事例や酒米の開発について述べました。

「オール県産」に代表される地域主義も重要だが、本質は地域主義によって形成される繋がり・循環だというのがこの発表の結論でした。

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また、古くから酒蔵が地域の中心的存在であったことを指摘した上で、これからの地域主義をリードする酒蔵の役割の重要性を述べました。

この発表の後、いろいろな研究者の方から貴重なフィードバックをいただきました。その中で大きかったのは「テロワールという言葉を使うべきではない。枠がついてしまい、考えが固定観念に囚われてしまうからだ。日本酒の文脈での地域性を表す言葉を使ったほうがいい」というアドバイスでした。これは、やはり「地酒」という言葉を丁寧に再定義しながら使っていくことが妥当ではないかと考えられます。

日本酒テロワールキャノンボールの成果

日本酒コンシェルジュ通信が開催している、日本酒の地域性を探るワークショップ「日本酒テロワールキャノンボール」での参加者のテイスティングコメントを語彙論分析した結果も報告しました。

ワークショップを重ねることによって語彙の多様性が高まるという仮説は検証できませんでした。しかし、具体的な香りや味わいの表現にフォーカスすると参加者による語彙の多様性のばらつきが小さくなることが観測されました。これにより、ワークショップでのグループ・テイスティングが、同じ酒を前に同じ言葉を共有していることがわかりました。

これをもとに、小学生・中学生の食育の現場でグループ・テイスティングの効果を活用できるのではないかと考えています。野菜、果物、出汁、いろいろな味覚を言語化することによって豊かにすることが出来るからです。

以上、簡単に発表内容を紹介しました。ワークショップで見えてきた各都道府県で造られる日本酒の味わいの特徴や地酒の歴史など、詳細を日本酒コンシェルジュ通信の記事でご紹介する予定です。

最後になりましたが、このカンファレンスの応募のチャンスをくださった皆さん、発表を聞きに来てくれた皆さん、発表のフィードバックをしていただいた皆さんに感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。