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川鶴酒造で山田錦の田植え&バーベキュー!2015

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

(2015年6月21日)

町家でお酒を楽しむ会 No.31にゲストで来ていただいた川鶴酒造の藤岡美樹さんにお誘いいただき、川鶴酒造での田植えに参加しました。

川鶴酒造が米作りをすること

香川県観音寺市にある川鶴酒造。水不足に悩まされているイメージが強い香川県ですが、この地は財田川の伏流水に恵まれています。その水を使って醸されているのが「川鶴」です。

酒蔵の隣にある3反の水田。蔵元の川人さんによると、17年前から農業指導員などの助けを借りながら蔵の方々で山田錦を栽培しているとこのと。酒造りに携わりながら米も育てることで、米の生育状況を知り酒造りに活かせるようになった、そして何よりも農家の方々の苦労がわかったといいます。

10年位前から、地域の方々に手伝ってもらったりしながら少しづつ、今回のような「田植え&バーベキュー」といったイベントの形になってきたそうです。

蔵の方が大切に育てた苗

早起きして新幹線とマリンライナーを乗り継ぎ到着。すぐに着替えて田植えの準備にかかります。

こちらが今日植える山田錦の苗。藤岡さんが2時間おきに水やりをしながら大切に育てた山田錦の苗です。

山田錦の苗

苗の生命力

裸足になって田に入ります(田植え靴はもちろん持っていないので、ビーサンで来ました)。そして農業指導員や酒蔵の方の指導を受けながら苗を植えていきます。

「苗を取って、1本づつ植えてください」と指導員さん。「え?1本だけ?こんな細い苗1本だけで大丈夫?」と思いましたが、なんとこの後、分蘖(ぶんげつ、株分かれのこと)して30本まで増えるので1本で大丈夫とのこと。すごい生命力だ!

田植えをする日本酒コンシェルジュUmio

笑顔で田植えをする日本酒コンシェルジュ。しかしこのあとだんだん無表情になっていきます。

最初は「ちょっと田植えを体験して、おいしい日本酒とバーベキュー♥」と甘い気持ちでいたのですが、ちゃんと戦力としてカウントされていて、お昼までずっと、ガッツリと田植えをさせていただきました。

軽装で田植えはオススメしない

戦力になるのはうれしいことでした。黙々と苗を一本一本植えていくと夢中になっていきます。ずっと同じ方向を向いて苗を植えていき、片方のふくらはぎだけが真っ赤に焼けていたくなってしまいました。長袖長ズボンに田植え靴でないと、太陽に晒されてとても体力を使います。

お疲れ様!そしてバーベキュー

酒蔵の方をはじめ、地元の高校生や日本酒ファンの参加者で3反の田植えが終わりました。その後、田に水を入れたりして、仕上げ。そして、お疲れ様でした!バーベキューです。

讃岐くらうでぃで乾杯

まずは川鶴でもっとも屋外での飲酒に向いた低アルコール日本酒「讃岐くらうでぃ」で乾杯です。よいですね〜。讃岐くらうでぃが輝いたシチュエーションでした。

讃岐くらうでぃで乾杯

蔵の方々が慣れた手さばきで豚肉を焼いていきます。酒粕を食べて育った豚肉!おいしかった〜!コクがある豚肉でした。脂身部分もコクがありながら触感がなんとなく軽やかに感じました。

讃岐のおもてなし

肉以外の食材でも、讃岐らしいおもてなしをたっぷり感じました。水玉のビニール風呂敷も讃岐っぽさを演出。

水玉ビニールが讃岐っぽい

これは!よく見ると「寛永通宝」と書かれたてんぷら、これは川鶴酒造のある観音寺市で一番の観光名「銭形砂絵」をモチーフにしたものです。

寛永通宝のてんぷら

これが「銭形砂絵」。時代劇「銭形平次」を見たことがある方は見覚えがあるのではないでしょうか。

ちなみに讃岐での「てんぷら」とは、写真の通り関東で言う「さつまあげ」のことです。

観音寺市の銭形砂絵

山田錦のおぎにりはおいしい!

そして、蔵の方に出していただいたのが、山田錦おにぎり!自家栽培。つまり、きょう田植えをしたこの田んぼで去年作られた山田錦のおにぎりです。

山田錦のおにぎり

これはおいしかった!とてもおいしかった。一般に、酒造りのためのお米(酒米)は食べておいしいものではない、と言われています。私もそのような先入観を持っていましたが、予想に反して「うまい!」と唸るほどのおいしさでした。

山田錦の控えめな旨味を塩が引き立てたのでは?

これはおそらく、シンプルな塩むすびだったからだと考えています。

塩味による旨味の対比効果(塩味が旨味を引き立てること)は、旨味が少ないほど強いからです。つまり、もともと旨味がたっぷりのご飯に塩味を足しても旨味はあまり引き立てられないが、旨味が少ないご飯に塩を加えるとより旨味が引き立てられ、強く感じる、ということです。

もちろん川鶴のお酒もたっぷり楽しみました

もちろん、川鶴のおいしい日本酒もたくさんいただきました。今回田植えした山田錦をはじめ、隣の岡山県の雄町、香川県オリジナルのオオセトさぬきよいまいおいでまいで造られたお酒を楽しみました。

この中で「おいでまい70」と「雄町60」がお気に入りでした。

いろいろな米を使った川鶴のお酒

くたくたになったけど出会いもある楽しいイベント

予想外にハードな田植えと日焼けでだいぶ疲れてしまいましたが、そのぶんとても充足感のある体験でした。バーベキューでは讃岐のハイレベルなおもてなしを受けました。日本酒を通じていろいろな方と出会ったり、日本酒つながりで以前から交流があった方とお話出来たりと、日本酒の輪を体感して心が満たされました。

酒造りの地元回帰を感じたイベント

この田植えイベントを通して、「酒蔵の方が米を作る」、「地元産の米を使って酒を造る」といった地元愛を感じました。川鶴酒造はもともと、オオセトやさぬきよいまいなど香川の米を使って酒造りをされていますが、自分たちの手で米を作るということを通して、香川県観音寺市の酒「川鶴」という地酒、文化をつくっているのです。

他の地域から高品質な原料米を購入して高品質な酒を造るいわゆるYK35的な酒造りから、地域性を大切にする「地元回帰」への変化が各地で見られます。

地元の米を使い、地元の水を使い、(できれば)地元の酵母を使って酒を造る、そこに地域のストーリーが見えてくる。本来の地酒造りですが、一周してまた戻ってきている。このような現在の酒造りのトレンドを肌で感じました。

余談ですが、帰りのタクシーの運転手さんは、道すがら「あの田はどこそこの酒蔵、そっちの田はあの酒蔵」などやたらと酒米栽培状況に詳しかったです。