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イベントレポート: 「富翁」北川本家の物語ときき酒の会〈後編〉

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

前編に引き続き、「富翁」北川本家の物語・ストーリー動画の上映会レポートです。

蔵づくりと酒づくり 北川本家・乾蔵の物語

続いて杜氏の田島さんが語る乾蔵の物語です。

物語の上映後の田島さんからの言葉が印象に残りました。

酒造りで大切なことは、蔵で働く9名の蔵人たちが常に一つの方向を向き、酒造りの半年間気持ちを切らさずにいくこと、そしてこれが酒造りを率いる杜氏としての役割です。

このことを先代の杜氏にも言葉で教わらなかったけれども、今思うと先代の杜氏はこういうことで苦労されていたのだと感じました。

今の蔵人たちにもそういうことを分かってほしい、酒造りという日本の伝統文化を引き継いでいきたいといつも考えています。

手を抜いてしまえばその文化は引き継がれないだろうという思いで酒を造っています。

大吟醸山田錦

毎年春に「全国新酒鑑評会」という、新酒の出来栄えを競い合うコンテストが開催されています。日本酒に関わる酒造家、販売業者、飲食店、日本酒ファンなどから注目を集めているコンテストで、たくさんの酒蔵がこの鑑評会での受賞を目指して酒造りをしています。

大吟醸山田錦」は2014年(2013醸造年度)の鑑評会で金賞を受賞したお酒です。精米歩合39%、お米の中心の部分だけを使って造られたお酒です。米を洗うところからすべて手造りで造られ、華やかな香り、きれいな味わいを楽しめます。

富翁 大吟醸生酒

プルミエアムール

最後にご紹介したのが、「純米酒 プルミエアムール」。甘さと酸味のバランスがとれた、ワインのような味わいのお酒です。

酸味のしっかりしたお酒を造りたいと開発が始まりましたが、どうしても酸味が他の味から浮いてしまいます。そこでお米からとれる自然の甘いをつけて酸味と甘味をバランスよく調和させたということです。

冷やして飲むお酒として造られたお酒ですが、ある飲食店さんから「ぬる燗でも美味しいよ」と言われて試してみたところおいしかったとのこと。

そこでイベントでは、冷とぬる燗(36度位)の両方の温度で楽しんでいただきました。同じお酒でも温度を変えて楽しめるというのが日本酒の楽しさの一つですね。

富翁 純米酒 プルミエアムール

富翁らしさは“やさしさ” ファン・末澤昇悟さんの物語

プルミエアムールを楽しんでいただいたところで、このプルミエアムールがきっかけで富翁のファンになったという末澤さんの物語を上映しました。

神戸大学の日本酒サークル「正宗会」の代表を務める末澤さんが富翁に出会い、富翁の味から何を感じたか、造り手とのふれあいの中で末澤さんの日本酒に対する思いがどのように熟成されていったかが語られた物語です。

料理を担当してくださった「いなせや」の丸山さんのお話

今回のイベントで料理の仕出しをお願いしたのが「いなせや」さんです。

そのいなせやさんの丸山店長が、お忙しい中、会場に来ていただきましたので、お話をしていただきました。

丸山さんは日本酒が大好きで、杜氏さんに頼み込んで酒蔵に通い、日本酒の勉強をしているとのこと。杜氏さんや蔵人さんなど造り手の想いが届けられるような店をやりたいと思っています。

料理の中で、「いかなごのくぎ煮とマスカルポーネチーズ」は杜氏の田島さんが大好物なので入れていただいたとのことです。

丸山さんは旨味成分、アミノ酸が大好きで、日本酒の旨味成分と料理のうま味成分を合わせることを目指しています。

参加者の皆さんからいただいたお言葉

物語動画の上映ときき酒を楽しむという、今までにないスタイルのイベントでしたが、たくさんの方にご参加いただきました。参加者の皆さんに支えられてイベントを開催することができたと思います。

参加者と話す北川さん

イベント終了後、たくさんのご意見をいただきました。

「お酒の造り手と交流できてよかった」「造り手の熱意に触れられてよかった」と、造り手の思いを感じながらお酒を楽しめたというご意見。

「イベントで日本酒の楽しみ方が広がった」「お酒に親しみが湧いてきた」と、これからの日本酒の楽しみが広がったというご意見。

また、「酒造りの現場を見てみたい」「自分の贔屓のお酒を持てるようになりたい」とイベントをきっかけに何かをしようと思ってくださった方々もいらっしゃいました。

参加者の皆さんが、イベントを通してお酒の味わいと楽しみが広がり、新しい活動につながるという体験をされたことはとても喜ばしいことです。

参加者と話す田島杜氏

「物語で味わいを伝える」「食べ物、お酒に込められた思いを伝えあう」ことが普通に起こるような世の中になればいいなと思います。参加者の皆さんの声をお聞きして、このプロジェクトを続けていこう!と思えました。

参加者の皆さん、ご協力いただいた北川本家の皆さん、イベントスタッフの皆さん、ありがとうございました!

笑顔の参加者と北川さん